α型リン酸三カルシウムを添加した多孔質リン酸八カルシウム硬化体の作製と材料学的評価
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概要
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リン酸八カルシウム(OCP)の歯科臨床応用をめざし, リン酸二水素カルシウム一水和物と炭酸カルシウム混合粉末をリン酸水素ナトリウム緩衝液(pH=7.4)で錬和することにより, OCP硬化体を作製した.この粉末成分にα型リン酸三カルシウム(α-TCP)を添加した結果, α-TCP含有率69.0mass%で機械的性質が最も優れ, 錬和開始7日後の圧縮強さは12.0MPaとなり, α-TCP 0mass%の約7倍となった.SEM観察により, この機械的性質の改善は空孔の減少と微細構造の均一化などに起因することがわかった.α-TCPを69.0mass%添加したOCP硬化体は擬似体液中で錬和開始1日後にリン酸水素カルシウム二水和物を初期生成し, 6週間後にOCP, HApへ転化した.以上より, α-TCPを添加したOCP硬化体は歯内療法において硬組織修復材として十分な機械的特性を有し, 生体材料としての応用の可能性があることが示唆された.
- 日本歯科理工学会の論文
- 2000-01-25