各種複合レジンの材料学的性質ならびに歯質との接合状態に関する研究
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概要
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3種の臼歯部用複合レジンと3種の可視光線照射型レジンの吸水量, 圧縮, 引張りおよび曲げ強さなどの材料学的性質の経時的変化, フィラー含有量, 試験体の厚さが曲げ強さに及ぼす影響および歯質との接合状態について, 1種の従来型複合レジンおよび1種の超微粒子フィラー配合型レジンと比較検討を行い, 次のような結果を得た.1.2種の臼歯部用複合レジン(CPとKG)のフィラー含有量は, 従来型複合レジンFIIと同程度の値であったのに対し, マイクロフィラー型の臼歯部用複合レジンMJと3種の可視光線照射型レジンの場合, 31〜63wt%の範囲の含有量であった.2.ADA規格No.27の吸水量試験では, VDのみ合格し, 他の7種の複合レジンは, 合格していなかった.3.機械的性質試験では, 8種の複合レジンは, いずれもADA規格No.27およびISO規格4049に合格していた.4.圧縮強さでは, 臼歯部用複合レジンは, いずれも1日後で3000kg/cm^2以上の値を示し, 28日後では, 従来型複合レジンより約30〜60%値が向上していた.5.引張りおよび曲げ強さでは, 臼歯部用複合レジンおよび可視光線照射型レジンは, 従来型複合レジンの値と同程度かそれ以下の値であった.6.6カ月後の引張り強さ値は, 28日後の値とほとんど同程度の値を示した.また, この時期で変色した1種の臼歯部用複合レジンもその値は, 低下していなく, 変色が表面層だけで試験体内部まで達していなかった.7.臼歯部用複合レジンの場合, 曲げ強さ試験体の厚さを薄くするにつれて, その厚さに比例して曲げ強さ値が低下するのでなく, 試験体の厚さが薄くなると急激に低下するものが多く認められた.8.複合レジンと歯質との接合状態の観察では, 8種の複合レジンは, エナメル質と良好な接合状態を呈している部分を多く認められたのに対し, IDとHを除く他の複合レジンの場合, レジンと窩底象牙質間に隙間を生じている部分も多く認められた.
- 1983-11-25