金属焼付用陶材の焼成温度に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
金属焼付陶材冠は, 口腔内において強さが十分なうえ, 審美性がよく, 不溶解性であることから歯冠修復用として幅広く使用されている.本研究の目的は市販の金属焼付用陶材の適正な焼成温度を究明することである.焼成した陶材の表面構造とつや, 引張り強さ, オペーク陶材と金属との焼付界面の状態観察から適正な焼成温度の究明を行なった.陶材焼成炉はわれわれの講座で開発した操作温度が確認できるコンピューター制御の焼成炉を使用した.その結果, 次のような結論を得た.1.オペーク陶材 セラムコとビタの陶材は860℃で表面につやが現れたがユニボンドの陶材ではつやは認められず, 焼成温度900℃でわずかに色調の変化が認められた.陶材と金属との焼付界面の光学顕微鏡観察から700, 750, 800, 850℃の各焼成温度において, 陶材は金属表面の凹凸部に侵入して焼付いている様相が認められた.またユニボンドの850℃における焼成物の焼付界面のEPMAによる分析の結果, 陶材と金属は緊密に焼付いていた.陶材の引張り試験の結果, 焼成温度が高くなるにつれ, 引張り強さも大きくなった.2.デンティン, エナメル陶材について セラムコとユニボンドの陶材は, 焼成温度760℃で表面に粒状が残った状態でつやが認められたが790℃では粒状がなくなり表面は滑沢になった.またビタの陶材は焼成温度770℃で表面に粒状が残った状態でつやが認められたが, 800℃では粒状がなくなり表面は滑沢になった.引張り試験の結果, 焼成温度が高くなるにつれ, 引張り強さも大きくなった.以上の結果, 適正な焼成温度はオペーク陶材が850℃, セラムコとユニボンドのデンティン, エナメル陶材は760〜780℃, ビタのデンティン, エナメル陶材は770〜790℃, であることが示唆された.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1983-11-25