炭酸ガスレーザーがエナメル質に及ぼす物理・化学的効果
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概要
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歯牙に強いレーザーを照射すると, エナメル質表面にはひび割れが発生し, 歯髄には回復不可能な熱的損傷が起きる危険性がある.本研究では, 炭酸ガスレーザーを用いて, 歯牙に害を及ぼさない照射エネルギー密度を調べ, 24J/cm^2以下ならば安全であることがわかった.つぎに, エナメル質にレーザーを照射した場合, および, 38%Ag(NH_3)_2F, 2%NaF, 8%SnF_2, 2%FeCl_3+1%NaFなどのウ蝕予防薬剤処理後レーザーを照射した場合の, 耐酸性の変化について調べ, レーザー照射が, エナメル質の耐酸性増大に有効なことがわかった.また, レーザー照射により, エナメル質アパタイトのクリスタリットの大きさは, a軸方向に増大し, c軸方向に減少し, クリスタリットの体積は増大することがわかった.その結果, クリスタリットの比表面積が減少するため, エナメル質の耐酸性が増大するものと考えられた.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1984-01-25