Au-Pd-Ag系合金の陶材への着色と諸性質 : スズ, インジウム単独添加の影響について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
陶材焼付用合金から陶材への着色が修復物製作時に問題視されている.そこでこの着色を解明する目的で, 金-パラジウム-銀系, 21種の母合金を作製し, さらにスズ, インジウムをそれぞれ5wt%単独添加した合金を試作し, 陶材への着色傾向と物理機械的性質を調べ, 以下の結論を得た.1)色差ΔE^*ab(NBS単位)は銀で高度な有意差が認められ, 金, パラジウムでは有意差は認められなかった。すなわち銀の添加量が増加するにつれ次第に大きくなり, 色は黄色系に移行することがわかった.2)銀による陶材界面の黄変の原因は酸化銀によるのでなく, むしろコロイド状の金属銀によることが示唆された.3)陶材の変色傾向は母合金, インジウム添加合金, スズ添加合金の順で少なくなった.4)母合金において, かたさ(Hv)と引張強さとの間には相関が認められた.また, かたさは母合金にスズ, インジウムを添加した合金では約2倍となった.5)熱膨張係数は, 銀, パラジウムにより影響され, 金を中心にして銀を増せば大きくなり, パラジウムが増せば減少する傾向を示した.スズおよびインジウムを添加してもその傾向は母合金と同様であるが, 13〜17×10^<-6>/℃の熱膨張係数を示す組成範囲が狭くなった.総平均では母合金が15.5×10^<-6>/℃, スズおよびインジウム添加合金では, 15.7×10^<-6>/℃となり, 母合金より僅かに大きくなった.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1985-09-25