アルミナ系埋没材に関する基礎的研究
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概要
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高温で安定なアルミナに着目して高温鋳造用アルミナ系埋没材を試作した.基材は純アルミナ粉末, 結合材はアルミナゾル, 正りん酸, α石こうの三者から一つを選び互いに比較した.吸引埋没法を用いて急速に脱水をはかった.結果として結合材は濃度20%のアルミナゾルが最適であった.基材のアルミナ粉末を適度に粒度配合させることにより諸特性が向上する.圧縮強度, 熱膨張, 凝結寸法変化を測定して適当と思われる配合を選択した.得られた結果は1.アルミナ粉末は, アルミナゾルと練和すれば凝結する.粉末の最適な粒度配合は(粒度50μm, 50%)+(8μm, 45%)+(2.5μm, 5%)であり, 最適のゾル濃度は20%であった.2.上記の場合, 48時間後の圧縮強度が4.5MPa, 同焼成後6.2MPa, 熱膨張は1000℃で0.7%, 凝結寸法変化は-0.17%でありチタン合金の鋳造も可能であった.3.アルミナ粉末は10%正りん酸と練和すれば凝結し, 48時間後の圧縮強度は0.1MPa以下であるが, 同焼成後は約18MPa, 熱膨張は1000℃で0.7%でありコバルト・クロム合金の鋳造は可能であった.4.アルミナ粉末はα石こうを5%加えて練和すれば48時間後の圧縮強度は約3MPa, 同焼成後約2MPa, 熱膨張は1000℃で0.7%であり耐熱性は, アルミナゾル練和, 正りん酸練和に劣るがニッケルクロム合金の鋳造は可能であった.5.アルミナ・アルミナゾル試作埋没材でチタン合金及びコバルト・クロム合金を鋳造した結果はりん酸塩系埋没材に比較して優れていた.6.アルミナ・アルミナゾル試作埋没材は凝結後の乾燥に湿度50%で約48時間を要することが欠点であるが, 練和時は無水アルコールを添加すること, あるいは除湿雰囲気での保存により短縮の可能性がある.
- 1985-11-25