4-META/MMA-TBB系レジンとEDTA前処理象牙質との接着 : 前処理におけるEDTA・Fe・Naの役割
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概要
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4-META/MMA-TBB系レジンを用いたウシ象牙質への接着において, EDTA・Fe・Naの接着における役割を見いだすためにその効果を検討した.接着におけるグルタルアルデヒドの前処理効果も合わせて検討した.各前処理をした研削象牙質への接着強さにおいて, 4-META濃度に最適値が存在することを見いだした.pH7.4の0.3M EDTA・2Na-0.2M EDTA・Fe・Na(EDTA 3-2)で研削象牙質を60秒前処理するか, 各種EDTA60秒処理後に5%のグルタルアルデヒド含水エタノール溶液(GA EtOH)で処理することによって4-META/MMA-TBB系レジンの象牙質への接着が改善された.23MPaの最大接着強さが, 1% 4-META/MMA-TBB系レジンを用いて, EDTA 3-2処理した象牙質に対し得られた。0.5M EDTAで処理してGA EtOH処理を30分間施した象牙質へは4-META濃度が7.5%のとき24MPaの接着強さが得られた.EDTA 3-2処理と5% GA EtOH処理して5% 4-META/MMA-TBB系レジンで接着した試験片が4週間までの37℃の水中浸漬試験において最も安定した接着強さを示した.EDTA 3-2と5% GA EtOHで前処理し, レジンを接着したときに生成する樹脂含浸層は, SEM観察から6N塩酸に対し最も解けにくいことがわかった.これらすべての事実は, EDTA 3-2と5% GA EtOHによる前処理が象牙質への良好な接着を得るために有効であることを示唆した.EDTA 3-2中のFe^<3+>は象牙質の非コラーゲン性蛋白に結合する水を変化させる可能性があり, グルタルアルデヒドはコラーゲンを架橋する.これらの効果がモノマーの象牙質への浸透を改善し, 4-METAも処理象牙質へのモノマーの浸透を増進させる.このように象牙質へ浸透, 拡散したモノマーが重合することによって4-META/MMA-TBB系レジンと象牙質との安定した接着が得られる.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1987-01-25