東京大都市圏における周辺中核都市の成長
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概要
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近年,多くの研究者によって指摘されている大都市圏の構造変化に関して,東京大都市圏周辺部への都市諸機能の集積,さらにそれらが顕著にみられる周辺中核都市の成長に着目し,1975年〜1985年の変化について考察をおこなった。個々の周辺中核都市の特性を解明するに際して,通勤・通学流動,物品販売機能の集積状況,および業務管理機能の集積状況を明らかにした。その結果は次の通りである。(1)東京への通勤・通学人口率をみると,周辺部への高等教育機関移転の結果,とりわけ通学人口率の相対的低下が進んだ。(2)通勤・通学人口率から周辺中核都市は,その人口吸引の特性によって4つの類型に分類できる。また人口吸引力に優れた機能の集積が,大都市圏周辺部において周辺中核都市を成長させている。さらにかかる都市の成長にともない人口流動現象が複雑化してきた。(3)小売商業力指数から判断して,都心部での水準維持に対して,周辺部では全体的に平準化が進み,地域格差が縮小した。また東京への通勤・通学率がおおむね30%以下と高い周辺部内帯では,東京の近郊都市としての性格を強めた結果,上記の指数の低下傾向が認められた。(4)上場企業の支所オフィスは,東京区部へ一極集中すると同時に県域統括レベル支所オフィスの周辺中核都市への著しい集積がみられた。さらに下位の都市でもその立地増加が確認された業種もある。かかる状況から,大都市圏における周辺中核都市のもつ機能は重要性を増大しつつあると言える。したがって,そうした動向は大都市圏における構造変化の一断面であると規定できる。
- 地理科学学会の論文