The Economic Emergence of Modern Japan : Impressions from Abroad
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概要
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外国からみて,日本人の能力は驚ろくべきものである。それは日本人が模倣に優れているというのではなく,海外の動向に対する観察と接取への選別力に優れているということである。人口爆発という問題に直面している世界において,日本が大人口国でありながら達成した人口抑制への努力,石油危機以前にみせた経済の高度成長,工業国としての質的水準の高さなどは,日本人の能力の優秀さを証明した。しかし,自然資源に乏しい日本は,現下の国際環境のきびしさのなかで,成長と生産を再び持続するには,より高品質の資源輸入と高品質の工業製品の輸出にいっそうの努力を傾けねばなるまい。現実は、とくに資源確保の困難さを強めているが,太平洋地域の諸国の多くは日本にとっては資源輸入国であり,とくに東南アジアとの持続は重要である。他方,政府基金による国際交流基金の援助で進められている文化交流は,現代日本を海外に理解さすうえで重要な活動といえる。戦後の農地改革の成功をはじめ輝かしい日本の発展は奇蹟的ではあったが,その中に多くの問題が内包されていることもたしかである。現代日本が進めた工業化・都市化による太平洋ベルト地域への人口の著しい集中と環境破壊,他方,地域間の不均等的発展一これは西南日本での新幹線・高速自動車網・本四連絡橋の建設などでいっそう拡大されると思われる。これら環境問題や地域間格差の解決への努力は,欧米生進国や開発途上国にとってすぐれた先験例となる。汚染源をもつ工業の無差別な立地や人口密集は抑制しなければならない。注目すべきは,日本社会が極めてホモジニアスであり,その中に日本文化と日本的コミュニティを持続し,これらを内包して工業国へと発展してきたことである。1973年の中東戦争による石油危機は,日本経済に鋭い切りこみを行なった。日本人は危機感に襲われたのである。これに対して,日本の海底油田開発,シベリア開発,アラスカ石油の供給,東南アジアでの石油開発などは,いずれも日本がそれぞれをとりまく政治的環境をどう解決してゆくかにかかっている。もちろん,日本だけで一方的に解決できるものではないし,日本がそれにどれほどの寄与をしうるかにかかってもいる。重要なことは,エネルギー間題について日本が解決への努力をせずして確保に狂奔したら,すべてを失ってしまうということだ。過去30年間に,日本が世界に示した日本と日本人の有する優れた能力が,世界的に起っている諸問題の解決に貢献があることを期待するが,それは,日本の顕著な能力的寄与と密接なつながりがあるということを強調すればこそである。