イタリア語の再帰動詞について
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概要
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主語と同じ人称・数の補語代名詞mi, ti, si, ci, vi, siを伴う動詞を総称して再帰動詞と呼び, その文法的機能によっていくつかの種類に分類されるが, 文法書や辞典によって分類方法が多少相違するようである.まず第一に, 以前の辞典ではこの動詞はv.rifl.(verbo riflessivo)の名称に統一されていたが, 最近の新しい辞典ではv.rifl.とv.intr.pron.(verbo intransitivo pronominale)に分けられている.この新しい分類規準はいかなるものであろうか.diffendersiやlodarsiが[再動]であるのは当然であるが, alzarsi「身を起こす, 起き上がる」が[代動]であって, coricarsi「床につく, 寝る」が[再動]となっているのはなぜであろうか.またrecarsi「赴く, 行く」が[代動]であるのに, portarsi「出掛ける, 赴く」が[再動]であるのは矛盾ではなかろうか.このような素朴な疑問を抱きながら, かなり以前からこの種の動詞の複雑な機能を解明したとい思い, 折を見てはあらゆる文法書を漁ってみたが, いずれも皮相的な説明がなされているのみで, その研究にいたってはLINGUA NOSTRA vol.XII, Fasc.4(1951年)に発表されたAmerino Camilliの小論文《Verbi riflessivi》以外に, 再帰動詞それ自体の研究ではないが, F.B.Ageno, 1964の中の論文(Sulla man-canza del riflessivo con le forme indefinite del verbo》などがあるだけである.従って, 他のイタリア語研究の分野と同じく, 再帰動詞についても今後の研究に期待しなければならず, またその歴史的な形成過程についても言語史の中で漠然とした記述がわずかに試みられているに過ぎない.本稿においても, 従来の文法書, 言語史, その他の研究におけるこの動詞の取り扱い方を紹介しながら, 検討したことを, 拙い見解を交えつつ, 整理してみたまでである.
- 1986-10-30
著者
関連論文
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