セバスティアーノ・セルリオ『建築第三書』の古代遺構
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概要
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一六、一七世紀の間、ヨーロッパ全土でよく読まれたセルリオ『建築書』は、建築史上最も重要な建築技法書の一つである。八、及至九の「書」からなるこの建築書の中でも、古代建築の実例を大判の木版図で紹介した『第三書』は様々な研究目的から今日でも参照されることが多い。一つの校訂版もあらわれていない現在、この書をみるには古刊本に直接あたる他ないのだが、そのときまず問題となるのは、ここで描かれ、記述されている古代建築が、今知られているどの遺構のことかが必らずしも明らかでないことである。本稿では『第三書』で紹介されている古代建築のすべてについてそれを明らかにしようと試みた。『第三書』には図とその説明の文章以外、たとえば総論のような部分はないから、これは同時に現行の遺構名による全巻の目次をつくることにもなった。あわせてルネッサンス期に古代建築を描いた他の図集--素描、刊本、版画集-の、その遺構を描いた部分を示すことにする。今回参照できなかった重要な図集も少なくないが、ルネッサンスの美術家がどのように古代建築を理解していたかをとらえ、その中でのセルリオの位置を考える為にも、他の図集との比較はかかせない。その為の一助にはなるかと考える。
- 1985-03-30
著者
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