イタリア語の「過去未来」について
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概要
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現代イタリア語においてはいわゆる「過去における未来」(Futuro nel passato)を表現するのにAVREBBE FATOという「複合形」を用いるのが通常である。これはロマンス語の中でもイタリア語だけに見られる特有の現象であり、以下に示すように他のロマンス諸語においては、この過去未来の機能は「単純形」が担っているのである。フランス語 Je voulais voir si tu m'entendrais.スペイン語 Dijo que asistiria a la reunion.カタラン語 Va dir que escriuria l'avis.ポルトガル語 Ela me respondeu que aceitaria minha proposta. イタリア語も同様に前世紀まではここに「単純形」(FAREBBE)を用いることが可能であったのだし、古イタリア語ではむしろFAREBBEの使用が圧倒的に多かった。E allora disse I'Amoroldo che la battaglia non rimarebe in nesuna maniera.(Tristano Riccardiano)Governale disse che no lo vi porterebe gea.(同上)同系であり、類似した時制・法の体系を有しながら、ロマンス語の中でなぜイタリア語だけが過去未来を示すのに、かつての単純形を捨てて複合形をとるに至ったのであろうか。本論ではこの変化の原因を動詞時制及び法の体系の観点から探っていくことを目的とする。
- 1983-03-10
著者
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