Studium generaleの概念 : その普遍性と法的根拠をめぐって
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概要
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中世後期には、司教座聖堂学校を中心とする教会学校、教師が個人的に営んだ私塾、都市学校、繁栄した宮廷の宮廷学校など、諸種の学校が各地に出現していた。わけても、都市生活の勃興とその経済的興隆に伴ない、十二世紀後半以降、それらの学校の中から中世大学が出現したことは、その後のヨーロッパの知的生活に多大の影響を与えたのである。この中世大学は、他の諸学校、とりわけ私塾や都市学校に対して、どの様な相違の下に成立して来たのであろうか。換言すれば、当時の高等教育と他の一般的教育との間には、教育内容等の相違を越えた本質的な法的相違が存在したのであろうか。この問題を考察するには、まず、私塾や都市学校などの教育機関を示すStudiumという概念に対して、中世大学を示すStudium generaleという概念の有する意義を明らかにすることが必要と思われる。本研究ノートは、様々に議論されて来たStudium generaleの概念を、その普遍性と法的根拠の問題を中心に整理・要約し、前述の問題を考えるための手がかりを得ようとするものである。
- イタリア学会の論文
- 1977-03-20