モデナ本寺内陣の彫刻について
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概要
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十二世紀前半、北イタリア、ロムバルディア出身の彫刻家たちによって拡張された、彫刻における新しい表現方法において、地元のロムバルディア彫刻の伝統とは深く関連せず、プロヴァンス地方の、とくにアルル(Arles)およびボウケール(Beaucaire)に確立された彫刻の様式に、深く根を張った一流派があった。かれらは極めて多作であり、その制作は北イタリアのエミリア、ロムバルディア地方から、アルプス以北にかけて広範囲に分布しているが、小論では、北イタリアにおける中世都市モデナの本寺(Duomo di Modena)内陣胸壁を飾る浮彫その他を採りあげ、これらの制作者たちを通して、イタリア・ロマネスク彫刻の内部にプロヴァンス様式が浸透した事情を考察するが、先行様式としてのプロヴァンス・ロマネスクを目のあたりにして、この彫刻家たちがいかにこれと対峙し、これを摂取していったかを、個々の作品を観察しながら考えてみたい。
- 1969-01-20