世紀末ヴィーンにおける音楽と政治
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
19世紀末のヴィーンの音楽界は、ブラームスを中心とする保守派とヴァーグネリアンたちによる進歩的なブルックナー派に二分されていた。その美学的な対立には、当時のオーストリアの政治状況がからんでいた。すなわち、保守派の代表とされるブラームスは政治的には自由主義者であり、むしろ改革派であるのに対して、「未来の音楽」を標榜するブルックナー派は、自由主義政策の推し進める改革に不満をもつ保守主義、急進的ドイツ民族主義、反ユダヤ主義と結びついていた。個人的には社会や政治に無関心であると考えられているブルックナーは実はそうした政治党派を象徴する存在に祭り上げられていたのである。また、ふつうヴァーグナー派とされているマーラーには、親ユダヤ的である自由主義者ブラームスとの共通性をみとめることができる。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2004-12-12