反転分布モデルによる符号化ビットストリームの解析

概要

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筆者らはMPEG-2を主体として符号化系列の冗長度解析を行うことによって,符号化性能の評価を行って来た.符号化ビットストリームのエントロピー,サンプルエントロピー等を調べ,長いビット数ごとに区切ったビットパターンという統計量では1ビットあたりのエントロピーが20-30%低下し,再圧縮の可能性ある事を示してきた.一方,この統計量はビット長が1ビット増加する毎にデータ量が2倍となり,対象としている圧縮ファイルのデータ量をどの程度確保すればよいか不明であった.データ量とともに符号化対象の映像や符号化パラメータの種類に関してもどの程度の数を用意すればよいか不明であった.本論文では,ビットストリーム解析の手法の検証を行い,計測結果の普遍的な信頼性を確保するために必要なビットストリームの長さ,種類の数を明確化する.ビットストリームの長さについては,事象の種類の数倍が必要である事が分かった.また,種類に関しては,計測対象である確率事象をモデル化し,その分布の様態を調べた.あるサンプルに対する反転分布を考えると,そのサンプルと反転分布の和事象はエントロピーが1となる.モデルの分布の広がりはほぼ均一である.MPEG圧縮ファイルのサンプルの分布は特定領域に集積していることが,サンプルの和事象のエントロピーを計測することで示された.このサンプルによる検証は事象の数に連動して多く行う必要が無く,少数のサンプルで十分な結果を得ることが出来る.これらの検証手法を元に20ビットの長さのエントロピー計測を行い,対応するハフマン符号を作成し,再符号化を行い,再符号化システムの有効性を示すことができた.
一般社団法人情報処理学会の論文
2002-03-04

反転分布モデルによる符号化ビットストリームの解析

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