ネットワークの幾何学情報を考慮した確率的交通均衡配分モデル
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概要
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交通ネットワーク確率配分モデルにおいて, 配分経路集合をどのように設定すべきかは, いまだ良い方法が確立していない問題である. 従来, その配分対象経路として, a)全てのsimple paths(同一リンクを二度以上通過しない経路), b)適当な基準によって限定された経路, c)cycleをも含む全経路等の定義に対してモデルおよび計算法が提案されている. しかし, 従来のいずれの経路集合の定義および対応する配分計算法も, 計算の実現可能性・効率性と利用者行動論上の自然さという両面からの要請を同時に満たすものではない. そこで, 本研究は, a)の経路集合を実現しつつ, かつ, 大規模ネットワークにも適用可能なLOGIT型確率的配分の計算法の開発を目的とする. これを実現するために, 以下の2つの方針を採用する: 第一に, 赤松(1995,1996a),Bell(1995)のLOGIT型マルコフ連鎖配分モデル(MCA)と同様の枠組みで計算アルゴリズムを構築する. 第二に, MCAで問題となっていたcycle nowを完全に削除するために, "回転角度" の概念を複素数空間を用いてモデルに導入する. この全く新しい技術の採用により, simple pathsへの配分と効率的計算の両立が可能となる. また, この技術は, その代数構造面から眺めると極めて自然であるため, 交通配分モデルだけではなく, 一般的なグラフ理論に対しても新たな理論的展開と成果をもたらすことが期待される.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1996-09-13
著者
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