電子取引におけるセキュリティについての一考察
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概要
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本論文では、急速に発展しつつあるInternetを通じた電子取引の時代に向けて、そうした取引の安全性や正当性を保証するための暗号化プロトコルについて、ゲーム理論の立場からその特質と限界を提示し、こうしたプロトコルデザインとゲーム理論との協調作業が重要であることを論じる。プロトコルデザインにおいては、プロトコルを通じて送られる通信中のメッセージの改ざんを防ぐことで、安全性や正当性を保証するプロトコルを考えることを目標としているが、こうしたプロトコルにおいて送られるメッセージがプロトコルに参加するものの真の情報を含んでいるかについては何の保証も与えられない。ゲーム理論におけるメカニズムデザインでは、そのメカニズムに参加するプレイヤーの送るメッセージが、真の情報を含むものであることを保証するようなメカニズムを構築することを目標としているが、このメカニズムは参加するプレイヤーがすべて合理的であること、すなわち多項式時間 Turing Machine 以上の計算能力を持っていることを前提としている。本論文では、こうした異なる目的を持つプロトコルデザインとメカニズムデザインの成果を互いに補間しあうことにより、よりよい取り引きメカニズムを開発し得るということを主張する。具体的には、公開鍵交換におけるユーザー保証の問題と、鍵共有プロトコルを用いたマルチパーティプロトコルを取り上げる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1996-05-21