有限要素法を用いた古墳石室強度のシミュレーション
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概要
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古墳の内部施設は大陸の新しい墓制の影響から5世紀から6世紀にかけて竪穴式石室から横穴式石室へと大きく変化して行く。それは単葬用から追葬用へという内部施設の機能差と構造差だけでなく、墳丘を構築した後、墓壙を掘り内部施設を構築するものから墳丘と同時に内部施設を構築するものへという、古墳という土木構築物の構築方法の違いを含む古墳祭祀の変化であると指摘されている。そして、この背景には高度な土木技術を持った大陸系工人集団の関与が想定されている。しかし、石室の研究は型式学的研究や土層層位からの構築過程の推定等に留まっており、構造物としての視点からの研究はほとんどなされていないのが実状である。本研究では石室を土中埋納構造物と考え、竪穴式石室を閉鎖型中空構造物モデル、横穴式石室を開放型中空構造物モデルと考え、発掘調査のデータから3次元CADを用いてコンピュータ上でモデリングを行う。次に、建築・土木や機械設計に用いられている有限要素法応力解析の手法を用いて構造解析を行い、石室構築技術および古墳構築技術の変遷過程を定量的に解明することを目的とする。その結果、古代の土木技術史の解明、古墳祭式の変遷過程の解明や今後の古墳保存技術の研究の発展の一助となると思われる。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1998-10-23
著者
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