強化学習主体からなる交換経済システムにおける貨幣の生成と崩壊(数理モデル応用)
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概要
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本研究では強化学習主体からなる交換経済システムのモデルを構築し,シミュレーションを行った.強化学習主体の学習能力は,割引率と呼ばれるパラメータによって特徴付けられる.小さい割引率は,主体が近視眼的であり即時的な報酬にのみ関心があることを意味する.一方割引率が大きいとき,主体は将来の報酬を現在の報酬と同等に評価する.シミュレーションの結果,ある特定のパラメータ領域においてのみ貨幣交換システムが出現することがわかった.割引率が小さいとき,主体は消費財にのみに価値を見出し,自分の生産財を直接消費財と交換しようとする物々交換戦略に固執する.割引率が増大するに伴って,貨幣が生成する.しかし,ある割引率がある値を越えると突然貨幣が崩壊し,互恵社会へと移行する.
- 2003-09-18