不妊女性の心理に関する研究 : 体外受精・胚移植を受ける女性の不安と対処行動について
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概要
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[目的]体外受精, 胚移植を受ける女性の治療各期における不安状態と, 胚移植後から治療結果を待つ間の対処行動について知る。[方法]東北大学病院婦人科にて体外受精, 胚移植を受ける女性を対象に, 質問紙調査および肥田野の新版STAI, ラザルス式ストレスコーピングインベントリー(SCI)を用いて縦断調査を行った。[結果]治療各期の状態不安は治療開始前より採卵前, 胚移植前共に上昇し, 妊娠反応検査前で最も高い状態不安を示した。特性不安高群と低群の治療開始前(平常事態)の状態不安に, 有意差(p<.004)が認められ, 特性不安高群は治療開始後も高い状態不安を示した。特性不安高群の対処志向は問題解決型対処志向の者が多く, 対処型は計画型[Pla]を利用する特性傾向が強く認められた。[結論]治療開始前にSTAIを実施することは, 治療開始後に生じる個々の不安状態を予期する手段として有効である。最も心理的な支援が必要となる時期は妊娠反応検査前である。SCIからストレスに適切な対処ができていないと思われる状況が認められた。