岩石及び底質試料の非分散けい光X線分析法
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概要
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岩石,底質(特に湖沼の底質)試料の迅速かつ簡便なけい光X線分析法を確立するため,次の2法を検討した.(1)試料を混酸で湿式灰化し,鉄,コバルト,ニッケル,銅,亜鉛,鉛をジエチルジチオカルパミン酸錯体,カリウム,ルビジウムをテトラフェニルホウ酸塩,更にカルシウムをシュウ酸塩として抽集し,測定する破壊法(DXRF法と略記)と,(2)セシウム及びセレンを内標準元素として,試料を粉体のまま測定する非破壊法(NDXRF法と略記)である.NDXRF法での検量線の作成は無水ケイ酸を母材として,人工的に合成した標準試料を用いて行った.両法とも検量線は,実試料中の濃度組成を考慮し,多量の鉄の共存による影響を補正して作成した.本法を岩石標準試料(工業技術院地質調査所),River Sediment(N. B. S.)及び琵琶湖底質試料の分析に適用するとともに,原子吸光分析法(AA法と略記)及び放射化分析法(NAA法と略記)とのクロスチェックも行った.クロスチェックの結果を相関係数で示すと,DXRF法とNDXRF法との比較では,カリウム:0.959,鉄:0.987,銅:0.925,亜鉛:0.929,鉛:0.878,ルビジウム:0.905で,NDXRF法とNAA法では,鉄:0.977,マンガン:0.985,更にNDXRF法とAA法では,マンガン:0.969といずれも良好であった.特にNDXRF法は重元素マトリックスのほぼ一定した湖沼底質試料などの分析法として優れたものと言える.定量した元素はカリウム,カルシウム,チタン,マンガン,鉄,ニッケル,銅,亜鉛,鉛,ヒ素,ルビジウム,及びストロンチウムである.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1978-04-05
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