表面薄切り法による高分子材料中の添加物の深さ方向の分布分析
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概要
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複合高分子材料中の特定の添加物や,積層フィルム中の特定の層に添加した化合物の深さ方向分布を分析する実用的手法を開発した.この方法は,まず電子顕微鏡用の試料(超薄切片)作成に用いられるウルトラミクロトームを用い,試料をμmオーダーの厚さで深さ方向に分画し,次いで,分画された薄片試料中に含まれる分析対象物を,その物質に適した分析方法で定量するものである.本法の有用性を,ゼラチン積層フィルム中にベタイン型ポリマーを添加したモデル試料を用い調べた.分画された薄片試料中のベタイン型ポリマーの定量は電気泳動法でベタイン型ポリマーをゼラチンより分離し,そのスポット濃度を計測することで行った.その結果,ベタイン型ポリマーの地層への拡散状態が分子量により異なる様子を1μmの深さ方向分解能で分析することができ,本法の有用性が示された.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1988-03-05