微分パルスアノーディックストリッピングボルタンメトリーによる水中の銅(II),鉛(II)及びカドミウム(II)イオンの定量
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概要
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水道水及び水道原水中の10ng/mlレベルのCu(II),Pb(II)及びCd(II)を簡単迅速に同時定量するのを目的に,つり下げ水銀滴電極を用いる微分パルスアノーディックストリッピングボルタンメトリーを日常分析に適用するための基礎検討を行った.塩化物イオンを含む塩化カリウム及び塩酸はCu(II)及びPb(II)のピーク電位及びピーク電流に大きく影響を及ぼすことが分かった.鉄及びマンガンなどのけん濁物が認められる試料では,塩化カリウムを除いて,塩酸,硫酸,硝酸,リン酸及び過塩素酸が支持電解質として適当であった.感度を高めるために析出時間を長くすることは特にCd(II)については効果がなく,又, Pb(II)のから試験値が高くなるので析出時間30秒で測定を行った.実試料として水道水,井戸水及び伏流水を用い,AASと比較したところ,良好な結果を得た.本法では試料に酸を添加するだけの前処理で,5分間の除酸素時間を含めても測定時間は約10分間であった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1987-05-05