鉱油及び廃油中のポリ塩化ビフェニル分析の前処理法
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概要
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石油類及び石油を含む油状廃棄物に混入したポリ塩化ビフェニル(PCB)の分析の前処理法を検討した.変圧器油,廃油その他鉱油中のPCB分析の前処理法としては,シリカゲルカラム,フロリジルカラムによる分別溶出,アセトニトリル-ヘキサンによる分配抽出などの組み合わせが検討されてきたが,洋上焼却又は海洋投入処分の基準とされる0.15μg/gの濃度範囲では,十分に信頼できる前処理法が確立されていなかった.すなわち,燃料用B重油にPCB試料を含ませて,環境庁告示で取り上げられた手法で前処理を行い,計測すると,5μg/g程度の濃度付近から混在物の影響とみられるガスクロマトグラフの乱れが目立ち,測定値の演算が著しく困難になる.そのために,従来から知られてきた石油類成分の分画法も援用して,石油類諸成分の排除を図った.各種の前処理法を組み合わせることによって得た測定結果は,0.1μg/gの鉱油試料に対して,87%の回収率で,PCBの標準混合試料と極めて類似したクロマトグラムを与えた.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1985-11-05