発がん性メチル化剤により生成したデオキシリボ核酸中の1-及び3-メチルアデニンとO^6-メチルグアニンの高速液体クロマトグラフィーによる定量(<特集>生体成分の高速液体クロマトグラフィー)
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概要
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陽イオソ交換樹脂Zipax SCXを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりデオキシリポ核酸(DNA)のメチル化により生成した1-メチルアデニン,3-メチルアデニン,O^6-メチルグアニンの定量を行った.移動相はリソ酸水素カリウム水溶液を用い,それぞれの塩基を試料中の他の塩基誘導体,及び多量に存在する主要塩基から分離する条件を検討した.検出は紫外吸収(254nm)を用いた.DNA試料はChargaffのアプリン酸を生成する条件で加水分解し,同時に透析を行い,加水分解されたプリン塩基のみを含む透析外液を回収,濃縮し,これをHPLCの試料とした.試料としては発がん性メチル化剤であるメチルニトロンウレア(MNU),AT-メチル-N'-ニトロン-N-ニトロソグアニジン(MNNG)をin vitroで作用させた子牛胸腺DNA,又ラット腹こうに同様の発がん性メチル化剤であるジメチルニトロソアミソ(DMN), MNUを投与し,その肝臓より抽出したDNA(in vivo)の分析を行ったところ,すべての試料で上記3種類のメチル化塩基が検出され,多くのものについて定量が可能であった.これらのことは発がん性メチル化剤のDNAへの反応様式を示唆する.
- 1984-07-05