還元気化-無炎原子吸光法による環境生物及び岩石・たい積物試料中のヒ素の分析
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概要
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環境生物及び岩石・たい積物試料中の微量ヒ素を還元気化-無炎原子吸光法によって定量するために,試料の前処理方法を検討した.生物試料の場合,分解法の違いによって分析値は著しく異なり,ボンブ容器やナス型フラスコを用いた分解法では一部のヒ素しか測定しえない.濃硝酸-18N硫酸を用いたケルダール分解法では,分析値の再現性も良く,正確なヒ素含量を求めることができる.岩石・たい積物試料の場合,塩酸又は硝酸だけによる加熱処理では全ヒ素量を求めることはできない.フッ化水素酸を用いた加熱処理では残存フッ化水素酸が原子吸光測定の障害となる.その除去のためテフロンビーカー中で強熱するとヒ素も飛散する.過マンガン酸カリウムの添加はそれを防ぐが,空試験値を大きくする.ケルダール分解法はこれらの試料に対しても適用できる.各種の比較標準試料をケルダール分解法で処理し,ヒ素含量を求めた結果,定量値は他の研究者の報告値や保証ヒ素合量とよく一致した.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1981-04-05