天然水中微量ヒ素の原子吸光分析法 : ヒ化水素への還元気化と液体窒素トラップによるその捕集とを組み合わせた方法
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概要
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テトラヒドロホウ酸ナトリウムによるヒ素の還元気化と液体窒素トラップによるヒ化水素の捕集とを組み合わせて,天然水中微量ヒ素の無炎原子吸光分析法を確立した.塩酸酸性にした試水に2%のテトラヒドロホウ酸ナトリウム溶液をペリスターポンプで連続的に添加してヒ化水素を発生させた.同時に発生する水素をキャリヤーにして液体窒素トラップに導き,それを捕集した.温水浴で再気化した後,加熱石英吸収セルに導入して,193.7nmにおける原子吸光を測定した.本法による定量限界は,0.02ppbであり,標準溶液を用いた繰り返し測定の変動係数は,(0.08〜0.6)ppbの各濃度において(0.8〜2,9)%の範囲にあった.天然水試料には(5〜25)mlの試水を用い,濃縮操作を加える必要はなく,共存元素の妨害もほとんどない.数種の天然水試料への適用は,添加ヒ素の回収率や定量値の再現性に満足すべき結果を与えた.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1980-03-05