エストロジエンのポリアミドクロマトグラフィーにおける各種ナイロンのアミド基密度の影響
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概要
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ナイロン6,66,610の薄層プレートを用い単一溶媒系(ギ酸エチル,アセトン,クロロホルム,ジクロルメタン)で展開すると,いずれもR_f値の大小はエストロン>エストラジオール>エストリオール及びナイロン6>66>610の序列を示した.後者はポリアミドのアミド基密度に基づく親水性・疎水性の差異による序列と考えられ,ナイロン3種の水中浸せき水分率,大気中平衡水分率の値と試料のR_m値とはほぼ直線的に相関した.ナイロン11は610よりも更に疎水性であるが,試製した薄層がはく離してしまうのでカラム液体クロマトグラフィーを行った.エストロンとエストラジオールの保持容量はナイロン66カラムでの値に比較してかなり増大し,又エストリオールのほうがエストロンよりも移動しやすくなる.疎水性のナイロンほど移動率が減少することは,試料と水素結合するアミド基の密度から期待される移動率の大小とは逆の傾向であり,ナイロン6から66,610,11へと増大する疎水性のメチレン鎖部分と試料との相互作用を示すものと考えられる.以上から,ポリアミドとエストロジェンとの間には水素結合のほかに,これと相乗的に働く疎水性相互作用も寄与することを指摘した.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1976-05-10
著者
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