X線光電子分光法による薄い金属表面酸化膜の膜厚測定(<特集>表面・界面・薄膜と分析化学)
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概要
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薄い金属酸化膜試料の膜厚をX線光電子分光法により測定した.試料としてAl_2O_3/Al, PbO/Pb, MgO/Mg, SiO_2/Siを用いた.光電子スペクトルは酸化物と金属成分に対応したダブルピーク構造を示す.各々のピーク強度を光電子取り出し角度を変えて測定し角度ごとに膜厚を求めた.又光電子平均自由行程の違いによる影響を見るためX線源としてマグネシウムK_α線及びアルミニウムK_α線を用いた.各X線源に対して得られた膜厚は6%の誤差範囲で一致した.表面粗さが無視できる平滑な試料に対してはあるひとつの光電子取り出し角度(θ)の測定で十分であることが確かめられた.しかし鉛試料の場合膜厚はθとともに系統的に変化しており表面粗さの影響を受けていることが分かった.この様な試料に対しては複数のθについて測定を行い膜厚を決める必要があることが確認された.大気中に長期間放置したAl_2O_3/Al及びSiO_2/Si試料の膜厚は各々約33Å, 11Åと導出された.
- 1991-11-05