ポリ酸アニオンの溶液化学的研究 : イオン移動ボルタンメトリーを用いるアプローチ
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概要
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各種ヘテロポリ酸アニオン及びイソポリ酸アニオンのニトロベンゼン/水並びに1,2-ジクロロエタン/水界面での移動をイオン移動ボルタンメトリーにより研究した.測定された標準イオン移動電位(Δ^W_Oφ^〓)はポリ酸アニオンの表面電荷密度に比例する量, |z|/n^<2/3>(zは電荷数, nは酸素原子の数)に対し一次の相関があることが分かった.この結果に基づき, |z|/n^<2/3>の値をΔ^W_Oφ^〓の代わりにポリ酸アニオンの疎水性尺度として用いることができることを示した.この疎水性尺度はポリ酸錯体の溶液中の安定性や溶媒抽出挙動を評価するのに有効である.又, Δ^W_Oφ^〓の表面電荷密度に対する直線関係は, イオンの溶媒間移行エネルギーが1/r^2(rはイオン半径)に依存することを意味しており, この結果は従来のボルン型の静電的溶媒和エネルギーでは説明できず, イオン-溶媒分子間の近接相互作用が最も重要であることを示唆した.本論文では, 水溶液中のポリ酸溶液の研究へのイオン移動ボルタンメトリーの応用と新しいボルタンメトリー型リン酸センサーについても述べる.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1994-01-05
著者
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