キャピラリー電気泳動によるN, N′-ジ(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N, N′-二酢酸を用いる金属イオンの分離とカルシウム及びマグネシウムイオンの定量<特集>分離(その2)
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概要
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表題のEDTA類縁試薬(HBEDと略記)を用いて金属イオンのキャピラリー電気泳動について検討した.HBED(H_4Y)は二価及び三価金属イオン(M^<n+>)と反応し, MY^<2->, MY^-型キレート陰イオンを形成する.pH9〜10で11種の二価金属イオンと2種の三価金属イオンのピークを得た.2×10^<-3>M HBEDを含むpH10.5の泳動液を用いた場合, 金属イオンの移動度(絶対値)は次の順に大きくなる(見掛けのイオン移動度) : Co^<2+>(2.05)<Mn^<2+>(2.10)<Al^<3+>(2.12)<Fe^<3+>(2.15)<Pb^<2+>(2.64)<Hg^<2+>(3.20)<Cd^<2+>(3.21)<Ca^<2+>(3.26)<Ni^<2+>(3.34)<Cu^<2+>(3.42)<Zn^<2+>(3.52)<Pd^<2+>(3.60)<HBED(3.74).イオン移動度に及ぼすpHの影響から, 大部分の金属イオンはpH10付近で安定なキレートを生成することが分かった.HBEDキレートは, EDTAに比べ, 長波長(294nm付近)に強い吸収を示し高感度定量が可能である.本法を河川水, 血清中のCa^<2+>, Mg^<2+>の定量に応用し, 良好な結果を得た.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1993-12-05