吸光スペクトル演算法を用いた核燃料再処理プロセス溶液中の原子価別ウラン・プルトニウム濃度及び酸濃度の非破壊自動分析システムの開発
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
使用済核燃料再処理プロセス溶液中のウラン(U), プルトニウム(Pu)の酸化状態別濃度(以下原子価別濃度と呼ぶ)及び酸濃度を, 同液において直接求めた吸光スペクトルから各単独原子価成分のスペクトルを差し引き演算することにより分析する方法を検討した.U及びPuの安定原子価状態であるU(IV)(VI)及びPu(III)(IV)(VI)の吸光スペクトルは, 硝酸系溶液において, その硝酸濃度に依存して変化する.又これら各原子価別スペクトルは, U, Pu混合溶液中で, 複雑に重なり合っているためその解析は非常に困難であった.そのため近年市販されるようになったスペクトル演算機能を有する分光光度計を用い, 上記の混合スペクトルを各原子価成分のスペクトルに分解し各々の濃度を分析することを試みた.本操作に当たっては, あらかじめ記憶させた単独原子価成分の酸濃度別スペクトルを拡大又は縮小させ, 混合スペクトル中の最も重なりの少ないピークから順にフィッティングさせスペクトル図形上で差し引いていく方法を採った.又上記操作で必要となる硝酸濃度は, スペクトル中の特定のピーク比から推定する方法を採った.10mmの吸光度測定セルを用いた場合, 本法により0.7〜20gl^<-1>のU(IV), 1.4〜60gl^<-1>のU(VI), 0.3〜8gl^<-1>のPu(III), 0.1〜6gl^<-1>のPu(IV), 0.05〜2gl^<-1>のPu(VI)が混合した試料溶液に対し自動定量が可能であることが分かった.分析精度については, 成分元素の混合比に依存するため一概には評価できないが, 例えばU(IV)5gl^<-1>, U(VI)17gl^<-1>, Pu(III)1.7gl^<-1>において2%以下の精度で分析できることが確認できた.又酸濃度については, 0.5〜5.5Mの範囲で0.2M以下の精度で定量できることが分かった.なお, 本解析処理はすべて自動で行われるため, 試料の組成に関係なくプログラムをスタートさせるだけの操作で結果が得られるよう考案されている.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1991-06-05
著者
関連論文
- 吸光スペクトル演算法を用いた核燃料再処理プロセス溶液中の原子価別ウラン・プルトニウム濃度及び酸濃度の非破壊自動分析システムの開発
- 核燃料再処理プロセスにおけるウラン及びプルトニウムのインライン分析への微分パルスボルタンメトリーの応用