吸着剤の選択脱離作用を利用した電界イオン化質量分析法による石炭水添分解油のタイプ別分離分析
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概要
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極性の吸着剤に担持させた試料を電界イオン化質量分析計(FI-MS)のイオン化室に導入し試料を加熱すると, 吸着剤の吸着作用によって特定成分だけを選択的に脱離させてイオン化することができる.この作用を利用して石炭水添分解油を質量分析計のみで化合物のタイプ別に分離分析する方法を検討した.無極性(XAD-1樹脂), 塩基性(アルミナ), 酸性(ゼオライト)の3種類の吸着剤を使い分けて, モデル混合物の測定を行った.塩基性アルミナを用いてFI-MS測定すると酸性成分が, 酸性ゼオライトを用いると塩基性成分がそれぞれ化学吸着されるため, 400℃まで昇温しても脱離せずスペクトルとして現れないことが分かった.そして, 本方法を用いて石炭を水添分解して得られた油の沸点200〜400℃留分の分析を行った.その結果, 得られたスペクトルとその差スペクトルにより, 石炭水添分解油をスペクトル上で中性, 塩基性, 酸性成分の3タイプに分離することができ, 各スペクトルより主要化合物の同定と含有量の算出を行った.
- 1990-10-05