表面プラズモン共鳴センサーを用いる薬物スクリーニングと初期薬物動態の同時解析(<特集>生体関連機能と分析化学)
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概要
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Biacore S51 を用いて,カルボニックアンヒドラーゼ (CA) に対する 34 種類の低分子化合物の結合性を実験したところ,スルファニルアミド,カルボキシベンゼンスルホンアミド (CBSA),フロセミド,アゾスルファミド,アセタゾールアミド,ジクロルフェンアミド,クロロチアジド,ヒドロクロロチアジド,メタゾールアミド及びインダパミドの 10 種類の阻害剤のみが結合することが確認され,擬陽性や擬陰性は全く見られなかった.また,血清タンパク質であるヒト血清アルブミン (HSA) を固定化したセルを同時に用いることで,HSA への結合性を同時に解析することができた.CA に対する結合安定性は,結合量と一定時間解離後のレスポンスのプロットから評価した.アゾスルファミドは高い結合性と安定的な複合体形成を示し,一方,インダパミドは比較的結合量が高いが,その複合体は極めて不安定で,速やかに外れてしまうことが分かった.センサーチップ上の CA は,72 回の分析でも活性が全く失われなかった.また,アゾスルファミド,フロセミド及びインダパミドの CA に対する速度論的解析では,結合速度定数 (k_a),解離速度定数 (k_d) 及び解離定数 (K_D) は,アゾスルファミドで 5.3×10^4 (M^-1 s^-1),9.0×10^-3 (s^-1),1.7×10^-7 (M),フロセミドで 4.9×10^4 (M^-1 s^-1),3.6×10^-2 (s^-1), 7.3×10^-7 (M),インダパミドで 2.5×10^5 (M^-1 s^-1),1.0×10^-1 (s^-1),4.2×10^-7 (M) であった.また,6 種類の薬物を 12 回繰り返し分析した再現性試験の結果,CA に対する結合性は,フロセミドで 33.5 RU±0.6 (RSD=1.8%),インダパミドで 40.6 RU±0.6 (RSD=3.7%),メタゾールアミドで 24.6 RU±0.4 (RSD=1.5%),更にヒドロクロロチアジドで,27.6 RU±0.4 (RSD=1.5%) と非常に高い再現性が得られた.全薬物を分析 (72 回分析) しても,固定化した CA の活性は全く低下しなかった.
- 2002-06-05