仮想講義空間共有型遠隔講義システムに関する一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
奈良リサーチセンターが進めている遠隔講義技術に関する研究について報告する。従来の遠隔講義は、ある講義室にカメラ及び映像配信装置等を置き講師が講義を行っている映像を各地の離れた講義室へ配信する方式が主流である。これにより不特定多数の受講生が同時に様々な場所で講義を受けることが可能になる。しかし、この方式は、講義室の規模を拡大し、離れた所で聴講できる機能を実現するに留まっており、受講生、講師両者にとって通常の講義と比較するといくつかの課題がある。すなわち、受講生にとっては、講師による講義内容を一方的に聴講するのみであり、理解度、疑問点などをその場で講師に伝えたり他の離れた場所にいる受講生の疑問点なども知る手段がないので、受身的な受講態度になりがちである。他方、講師にとっても受講生の理解度や疑問点などを逐次踏まえながら講義を進めることは出来ないため、講義内容も定型化してしまう。本稿では、これら課題を踏まえ、3次元CGを利用した仮想講義空間生成技術とインターネット等を利用した多地点での情報共有技術を組み合わせた仮想講義空間共有型遠隔講義システムについて述べる。本システムは、講師が3次元CGの実験装置などからなるCG講義室に入り込み、臨場感あふれる仮想講義空間を生み出す。さらに受講生の理解度などの情報を仮想講義空間に時々刻々・反映するなど、多地点間での情報共有を特長とするものである。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1997-03-12