移流拡散系と硬い常微分方程式
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概要
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移流拡散方程式を空間離散化した常微分方程式は,線形多段法を用いて解を導くのが一般的である.線形多段法では,精度を追求するために高次の式が必要になる一方で,高次の式を用いると解は安定しなくなることが知られている.解の安定性を確保するためには,式を低次のものにおさえねばならなくなる.線形多段法による解の安定性は,線形多段法の特性方程式が示す安定領域の中に,行列Aの全固有値が存在することが条件となる.しかし,様々な問題に対する固有値のふるまいについては,これまであまり論じられていない.固有値の分布についての理解は,実際に線形多段法を適用するときに,式を選択する目安となるはずである.ここでは,硬い方程式に対する線形多段法の展望を,固有値の分布という視点からながめてみる.実験に取り上げた問題は2次元の熱方程式で,モデルも非常に簡単なものであるが,きわめて興味深い結果を得たのでここに紹介する.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1992-09-28