自律制御用インタプリタ絡繰の概要
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概要
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絡繰は,自律制御システム(たとえばロボットや自走車)を動かすために当社で開発したインタプリタ言語の名称である.これは,宇宙で作業を行う部分自律型宇宙ロボットの実現に必要な要素技術として開発された.宇宙ロボットは地上の操作者と無線で通信しながら指示に従って作業を行う.地上の操作者と宇宙ロボットをつなぐ通信回線は,時間遅れが数秒あり,容量が小さいという特徴がある.そのような環境で従来の位置指令によるマスタスレーブ動作を行うことは困難である.さらに宇宙ロボットが備えている各種のセンサ情報に基づいて行動させようとすると,地上にセンサ情報を送りその情報に応じた行動の指示を出すことになり,通信負荷と時間遅れの影響を増大させる.この問題に対して,テレプログラミングと呼ばれる技術が米国のペンシルバニア大学で提案されている.これは地上から,位置指令ではなくロボット動作コマンドを送って作業を行うというものである.彼らの提案しているプログラムはコマンドの列であり,計算機言語のようなデータ/手続き抽象化機能や,実行制御機能は持っていない.宇宙ロボットに限らず,複数の計算機がネットワークで接続され,計算機間で情報をやり取りして何らかの作業を行うばあいにも言語る作業指示が可能であり,有効だと考える.たとえば,プリンタが決められた文字を印刷するだけの時はバラレルボートヘのデータ逐一出力だったものが,レーザプリンタという汎用の印刷機の出現によってPostScript^TMというページ記述言語による出力に変わり,高品位の印刷が可能になった.また最近では,ネットワークを渡り歩いての作業がRPC(Remote Procedure Call)からTelescript^TMになろうとしている.同様に,通信回線(あるいはネットワーク)で接続されたロボットが非定型作業を自律的に行う場合には,絡繰のような作業記述言語を使って制御されると考えている.さらに,ロボットの実行状況や,センサデータを絡繰のプログラムにして,ロボットから操作者へと送り返すことも可能である.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-09-20
著者
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