グループウェアとしてのスプレッドシートの活用法
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概要
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スプトッドシートはオフィスにおける個人的なデータ処理の道具として頻繁に活用されている。しかし、現実のオフィスでは一つのデータに複数の人間が関与しているのが普通であり、複数の計算機にまたがったデータ処理が必要とされている。これは現在のスプレッドシートでは実現困難である。複数のユーザ間のコミュニケーションには電子メールを用いることができるが、現在の電子メールは非定型的なコミュニケーションを目的としており、定型業務に固有の規則を組み込むことができない。これらの問題点に対して、スプレッドシートと電子メールの技術の結合による解決が期待される。すなわち、スプレッドシートにとっては、電子メールの通信機能が組み入れられることによって、複数の人間や計算機にまたがったデータ処理が可能になる。電子メールの側から見れば、スプレッドシートの規則性が組み入れられることによって、定型的なコミュニケーションへの応用が広がることになる。このようにして、オフィスにおける共同作業としてのデータ処理を支援するグループウェアが実現できる。スプレッドシートと電子メールを結合するためには、まずスプレッドシートにおいて複数のシートにまたがったデータを関連づける機構を提供する必要がある。そこで、典型的な応用として複数のユーザがシート上に入力したデータを集計する形態を想定し、データを関連づける機構を試作した。ここでは複数のユーザがスプレッドシートを使用するが、そのうちの1人がデータ全体を管理するシートを作成して他のシートとの間にスプレッドシートの特徴である規則を定義することにより、スプレッドシート間のデータ転送が可能となる。この機構は既存のスプレッドシートをベースに試作した。本稿では、このシステムの概要を報告する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1990-09-04