ホスト集中システムから分散システムへの効果的適用 : 企業システムへの適用事例からみた成功のための提言
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概要
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企業内における事務処理系電算システムは、業務的な側面と組織的な側面から、一環してホスト集中システムを発展させてきた。企業におけるデータの機密性の保持と、それを取り扱う専門知識を有する人材の確保育成の両側面から、ホストコンピュータといった統一アーキテクチュアの存在が、強力に集中化を押し進めたといえる。扱うデータも経理関係のデータや営業関係の勘定系データが中心であり、データを再利用するためにコンピュータを導入するという観点よりも、むしろデータの保存と安全性の確保にその重点がおかれた。また、実際的な話では、ハードウェアそのものの価格も高く、購入にあたっては全社レベルの意思決定が必要とされ、その運用にあたっては専任部門を設置し安全かつ効率的な維持作業が不可欠であった。しかしながら昨今のコンピュータの低価格化と高機能化によって、企業内における事務処理系システムを、ホスト集中システムから高機能低価格コンピュータの利用による分散システムへ転換しようとする動きが現れた。これはコストマインドに優れた経営者の判断とも相まって、企業においては分散システム化の潮流が広く浸透し始めた。しかしながら事務処理の考え方や、システム部門のあり方といったソフト面,マインド面が技術的な進歩に追いつかず、旧来のホスト集中システムを支えていた基盤でそのまま対応し、結果的に効率的な分散システムが運用できないといった弊害が、数多く見受けられる。この問題に対しては、システム構築部門のみならず、実際にシステムのサービスを享受するユーザ部門も積極的に解決に望まなければならない。解決のための手段を4つの側面から検討し、あるべき姿を以下に記す。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1995-09-20