三次元図形表示における輪郭線強調表示方式
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概要
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三次元CG研究の一つとして,リアルな表示画像の生成技術が追及されてきた.以下ではこれを写実CG技術と呼び,この技術で生成された画像を写実CG画像と呼ぶ.この画像は,画像化するときの条件により形状が分かり難い結果となる場合がある.近年CG画像において,物体形状を分かり易くするために,輪郭線を強調した表示画像の生成法の検討が行なわれるようになってきた.例えば,新間は三次元CGアニメーション作成への導入を提案し,輪郭線強調表示の例を示した.また,島田らはテクニカルイラストを観察し,視点と光源の位置をもとに,多面体を構成する辺を輪郭線,陰輪郭線,内形線などに分類し,それぞれ線の太さを変えて白黒2値画像を生成する方法を提案した.また,近藤らはペイントシステムを用いて対話的に輪郭線を強調する方法を示した.これに対して,輪郭線や稜線を自動的に検出する方法が提案されている.これらは画像処理による方法と幾何情報による方法に分類できる.画像処理による方法において,斎藤らは表示対象の奥行方向の距離の分布を示す距離画像を微分処理して輪郭線や稜線を検出し,写実CG画像の輪郭線と稜線の部分を強調する方法を提案した.この方法では,表示対象が散在していたり,距離画像にノイズを含まない場合に良好な結果を得ることができる.また.金子らは表示画像をフィルタ処理することにより輪郭線を検出し,三次元アニメキャラクタのふちどり線を生成する方法を提案した.この方法では背景とキャラクタの色に明確な差がある場合に良好な結果が得られる.幾何情報による方法には,金間による提案がある.まず,視線方向を向いた多角形の辺の頂点座標値を照合し,2回現れた辺を稜線,1回現れた辺を輪郭線と検出する.そして,マスクバッファ法をベースとした面に対する輪郭線の優先表示処理により,写実CG画像への書き込みを行なう.この方法は,表示対象が凸の場合に良好な結果が得られる.本報告では,幾何情報と画像情報の両者を利用して輪郭線と稜線を検出し,表示対象が凹や近似多面体,あるいは複数の表示対象どうしが近接している場合でも,これらを写実CG画像に良好に重ね合わせて表示する方法を提案する.
- 1995-03-15