自己表現技法としてのコンピュータリテラシ教育の試み
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概要
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社会の情報化が進む中,大学改革の波と歩調をあわせて,多くの大学で情報処理教育が教養科目として導入されている。筆者の大学でも,コンピュータリテラシとしての科目が1年次の必修科目とされている。従来の一般情報処理教育としてはワープロや表計算,プログラミング言語の学習といった,いわば情報の"加工中心"の教育が主であった。しかし,今後のネットワークを中心とする情報化社会を考えれば,むしろ,情報の取得,生産,加工,伝達といった情報の"流通中心"の教育がなされるべきである。とくに重要なことは情報の生産者,情報の発信者として,情報流通の技術と作法を身に付けることである。この「技術と作法」に相当するのが"自己表現の能力",すなわち,・事実や状況を正しく伝える能力・自分の主張を明確に述べる能力・他者の意見を不同意の立場で受け入れ,議論する能力であると考える。このような能力こそが,情報化社会における最も基本的なリテラシではないだろうか。このような認識のもと,筆者はコンピュータリテラシの教育を自己表現の技法を身に付ける訓練の場ととらえ,それを目的とした教育を試みている。本稿ではその教育内容について報告する。
- 1995-03-15