仕様変更が容易な通信ソフトウェア作成環境SDE適用方式の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
仕様の変更,追加,削除に伴うソフトウェア保守の効率化を支援する通信ソフトウェア作成環境SDEの実システムへの適用結果を述べる. SDEは,通信し合う並行プロセスにより処理が進むシステムのソフトウェア開発を支援する計算機システムであり,プロトコルに関する仕様から並行プログラムを自動的に作成する.通信サービスの呼制御プログラム開発にSDEを適用し,並行プログラムの実行環境がサポートされていない実システムへSDEを適用できることが確認されている.適用方式は,SDEで作成された並行プログラムを逐次処理プログラムに変換して実行する方式である.SDEで作成される並行プログラムを並行実行することは容易であるので,本適用方式では並行実行制御を行う.上記の逐次処理方式ではプロセスと端末の対応関係が固定的である.あるプロセスが特定の端末の制御を発呼から終話まで担当すると仕様の記述量が増えてしまい,結果的に複雑な仕様になる可能性がある.例えば,割り込み通話では,通話中のどちらに割り込む場合でも手順が同じであるにもかかわらず,いずれのプロセスに割り込んだ場合も考慮した仕様の記述が必要となる.これは割り込みに関する仕様を一つのサービスとして記述し,二者通話サービスから割り込み通話サービスへサービスの切り替えを行うことにより回避できる.サービス切り替えはプロセス切り替えを用いて実現する.サービス実現中に不要となったプロセスを停止し,新たに必要となったプロセスを起動することにより,サービスの切り替えを行う.プロセス切り替えによりプロセス数の変動するサービスに対しても直ちに対応できる.本稿では,仕様の増加を抑えるためサービスの切り替えをサポートする並行プログラム実行環境を既存システム上に構築してSDEを適用する方式を述べ,そのボタン電話システムIKLへの適用結果を述べる.SDEを呼制御プログラム開発に適用した場合,サービス実現性,処理能力において実用的である見込みが得られた.
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1989-03-15