大型OSにおける階層型利用者管理
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概要
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大型計算機システムにおいても近年対話処理を中心としたオープン利用のOSが注目されてきた。オープン利用運用を可能にするには、システム資源の利用を制限する機能、システム資源の使用に応じて課金する機能、作成したユーザファイルの機密保護機能、ユーザファイルのバックアップなどの障害対策機能が必須である。これらの機能を実現するには、利用者体系を計算機に導入して利用者を管理する必要がある。日立の大型OS、VOS3では、従来から利用者管理をサポートしているが、それをさらに拡張して、階層化された利用者体系をより自然に導入できるような階層型利用者管理機能(TRUST:Total Resource and User Control Facility)を開発した。TRUSTでは、利用者体系のモデルとして、図1に示す最も一般的な、部、課といった会社組織やプロジェクト構成を想定した。ここでは部やプロジェクトチームをグループと呼び、部員、プロジェクトチームメンバをユーザと呼ぶことにする。本モデルの特徴は次の通りである。(1)ユーザは複数のグループに所属できる。(2)各々のユーザの総和的な管理をグループ単位で行うことができる。(3)さらにグループの階層化を行い、複数の下位グループの管理を上位グループで行うことができる。本論文では、階層型利用者管理をサポートすることによって従来の利用者管理では実現できなかった機能について考察する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01