固定化リボヌクレアーゼによるエアゾル中のリボ核酸の加水分解
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概要
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著者らは各種酵素をコラーゲン膜中に固定化する新しい電気化学的方法を案出し、 この方法で調製した酵素膜の応用に関する一連の基礎研究を行っている. 本報では, リボヌクレアーゼ-コラーゲン膜で被覆したアルミナ粒子を用いてエアゾル中のRNAの加水分解を試みた.リボヌクレアーゼ粒子は, 活性アルミナ (平均直径約3mm) をリボヌクレアーゼを含むコラーゲン水和懸濁液と混合後乾燥して調製した.このリボヌクレアーゼ粒子を反応器 (直径 2.2cm, 長さ 20cm) に充填した. 基質の RNA はアトマイザーを通してエアゾル化させ, リアクターに導入させた.この結果, RNA の加水分解は空間速度の減少とともに増加し, 空間速度9×10^3で約50%が加水分解された. しかし, さらに空間速度が減少しても分解率の増加は認められなかった. 本研究に使用したアトマイザーはミクロン程度以上の水滴を生成させるので, エアゾルがコラーゲン膜中を通過するとは考え難い. したがって, コラーゲン膜表面に固定化されたリボヌクレアーゼによって, RNA が加水分解されたものと推定された.
- 公益社団法人日本生物工学会の論文
- 1976-10-25