Candida属一菌種よりプール・メチオニン高含有変異株の分離およびその諸性質
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概要
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n-パラフィン資化性酵母Candida petrophilum ATCC 20226よりメチオニン高含有株を取得する一方法として, 細胞内に遊離のメチオニン(プール・メチオニン)を蓄積する変異株の誘導が試みられた。このためにエチオニン耐性株を分離したところ, その中にプール・メチオニン高含有株が多数見出された。このうち一株はメチオニン含有量が親株より約40%高く, 増大したメチオニンはプール・メチオニンの増大に見合っていることが示された。以下の実験にはこの変異株が用いられた。この株のプール・メチオニン蓄積能は, スラント培養で保存すると次第に低下していくことが認められた。このような不安定性は, スラント上で継代中にエチオニン耐性に関する復帰変異株が出現することに起因することがわかった。復帰変異株の出現は, スラントにエチオニンを添加することにより阻止された。この株は液体培地による継代ではかなり安定であった。さらにメチオニンをふくむ反応系でメチオニンの消費を追ったところ, 変異株は親株よりおそい消費経過を示した。この際, 親株の菌体中からS-adenosyl-methionineおよびその分解産物とみられる含硫化合物が検出されたが, 変異株にはこれらの物質はほとんど認められなかった。以上の結果から, 変異株ではS-adenosylmethinone合成能が損傷しているものと推定された。
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1974-02-25
著者
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