醗酵槽における酸素吸収 : 界面活性剤消泡剤及び死滅菌体の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
醗酵槽中の酸素移動容量係数k_<La>は液中に存在する界面活性物質, 消泡剤及び微生物等の影響を受け, 水中や亜硫酸ソーダ水溶液中の値とは異なる. k_<La>の値の変化をk_L及びaのそれぞれの変化に分離するため, 定界面積型攪拌槽, 通気攪拌槽及び気泡塔を用いてk_L, k_<La>及びガスホールドアップを測定した. 気液接触面積が一定である定界面積型攪拌槽でk_Lを測定した結果, 水, Tween 85を添加した水, 死滅菌体懸濁液の三者の間には, 低攪拌速度域を除いて, 差は見られなかった. 気泡塔において水にTween 85及びシリコン系消泡剤と添加したところk_<La>及びガスホールドアップは極端に低下した. これらの添加物質は気泡の合一を促進し, 巨大な気泡を生じさせる. この巨大な気泡は上昇速度が大きいので, ガスホールドアップを減少させ, 有効な気液接触面積を減少させる. これがk_<La>の低下の原因である. 気泡塔において微生物懸濁液中のk_<La>は水中のそれに比べて小さな値を示した. この場合もガスホールドアップの低下が見られた. 微生物懸濁液に消泡剤を添加すると, k_<La>は菌体濃度と消泡剤濃度との相互関係により, 複雑に変化するが, k_<La>とガスホールドアップとは大体比例した. 消泡剤濃度が100p.p.m. を越えると消泡剤の効果が支配的となり, k_<La>は菌体濃度と無関係となる. 通気攪拌槽中のk_<La>に及ぼす界面活性剤及び懸濁微生物の影響を調べたところ, k_<La>の変化の様子は気泡塔の場合と類似していた. 気泡塔でも攪拌槽でも本実験で使用した界面活性剤, 消泡剤及び微生物は主に気液界面積αを変化させ, その結果k_<La>を低下させることが分った.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1974-12-25
著者
関連論文
- 401 微生物による液状炭化水素の取り込み機構
- 醗酵槽における酸素吸収 : 界面活性剤消泡剤及び死滅菌体の影響
- 325 菌の呼吸を伴う場合の酵素移動係数
- 213 k_Laに影響する2, 3の因子について