線形計画法による持続可能な森林経営の目標設定 : モントリオール・プロセスの基準・指標を事例として
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概要
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本研究では, 持続可能な森林経営の進歩状況を判断するための道具として, 基準・指標の許容範囲・目標値なる概念を提案し, それらを線形計画法により推定する手法を確立した。はじめにモントリオール・プロセスで採択された生物多様性, 生産力, 炭素固定, 社会・経済的便益の四つの基準を取り上げて, 推定対象とする指標の内容を具体化し, つぎに線形計画法により「指標の値が計画期間中減少しない」という持続可能な森林経営の条件を定式化した。これを解いて指標の最適解を得た後, 最後にパラメトリック線形計画法を応用して指標の実行可能解領域を求めた。このとき実行可能解領域は持続可能な森林経営の条件を充たす値の範囲を, 最適解は持続可能な森林経営の条件を充たしつつ計画期間中の収穫量を最大化する値をそれぞれ意味し, 前者を許容範囲に, 後者を目標値に見なすことができる。求めた許容範囲・目標値は, 基準間の相反する関係を反映したもので, 持続可能な森林経営の進歩状況を判断する際に有効と考えられる。
- 1999-08-16