スギ幼苗における初生葉のアイソザイムパターンの経時変化
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概要
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スギ幼苗を使ったアイソザイム遺伝子分析の基礎調査として, 播種後2か月から18か月までの幼苗における初生葉のパーオキシダーゼアイソザイムパターンを, デンプンゲル電気泳動法で調べ, さらに針葉のパターンとの違いを検討した。ガラス室(11月以降5か月間の平均気温は20℃)で育成した幼苗の場合, 初生葉のパターンはあらたなバンドの出現を伴いながら変化し, 播種後10〜11か月でほぼ安定したが, その過程で, 薄いバンドの消長も認められた。また, 比較的濃い特定バンド(5本)の安定時期は, バンドの種類で異なった。野外で育成した場合, 苗が生長休止期にはいった11月以降あらたなバンドの出現は一時的に止まった。また, パターンが"にごる"現象がみられ, バンドの判読が難しい場合が多かった。初生葉と針葉のパターンの違いは, 両方の葉が十分発育した段階では少ない。しかし, バンド判読の容易さは, バンド濃度が高い初生葉のほうがまさっていた。この違いは両方の葉の発育の差によると考えられる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1983-03-25