栄養条件をちがえたトドマツ苗木の日長効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1)発芽後間もないトドマツ稚苗を砂耕によつて栄養条件をちがえた状態で, 約1年間長日処理し, その生長促進効果を検討した。2)長日処理は約1,000ルツクスの螢光燈で夕方5時から9時(4時間照明)および12時(7時間照明)までの2種類の人工照明法で実行した。栄養条件は標準培養液とその2倍濃度, 窒素だけ2倍, 燐酸だけ2倍, 加里だけ2倍の5種類とした(第1表参照)。3)その結果, 何れの培養液でも長日の効果は認められたが, 標準の2倍濃度がとくに顕著で(自然日長区にくらべて乾物重で2.6倍), 次は窒素2倍, 燐酸2倍, 加里2倍の順であつた(第2表)。処理の時間は標準液と加里2倍区だけが12時まで(7時間照明)の照明で効果を漸増したが他の区は9時まで(4時間照明)の照明区が最大の生長量を示し, 12時までの照明によつて却つて効果が減退した。4)しかし長日処理苗は側枝を発達させる傾向がある点や処理の効果が根よりも茎の生長に対して著しい点, また処理苗が不揃いになる点は今後の研究課題といえよう。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1961-12-25